商談や面談で「真正面」はNG
次は、日常で見落としがちな「座る位置」についてです。座る位置は、相手に“自分とどう関わるつもりなのか”を伝え、心を開くか、守りに入るかの判断材料になります。
【(1)真正面は“緊張”の位置関係】
あなたは、商談や面談のとき、相手から見てどの位置に座りますか。正面でしょうか、それとも、少し斜めの位置でしょうか。
一見、相手と真正面で向かい合う配置は、相談や話し合いには向いていそうです。一方でその位置は、相手を“正面から観察する配置”でもあります。私たちの脳はこの位置関係を“攻撃の可能性がある”ととらえやすい性質があります。
けんかや対立は真正面の位置で起こることが多いからです。この“正面の相手”は、扁桃体(危険に反応する脳の部位)を刺激し、警戒・防御・緊張の反応を生みやすくなります。「じっと見られている」「試されているように感じる」という圧につながり、知らないうちに心が固くなってしまいます。
・会議室での面談がうまくいかない
・部下が緊張して話しづらそうにしている
・子どもが食卓で本音を言わない
・夫婦の話し合いが深刻になりがち
こうした場面の背景には、“正面で向き合ってしまっている”という配置の問題が潜んでいます。
「斜め45度の位置」がベスト
【(2)45度の位置は、脳に“味方”として受け取らせる角度】
一方で、椅子を少しずらし、“斜め45度の位置”に座ると、相手はあなたを仲間として受け取りやすくなります。
人は相手と同じ方向を見ているときに共感しやすくなります。脳は、相手の視線の動きをわずか0.2秒で検出するといわれています。つまり、視線がそろうと 「攻撃ではない」「一緒に考える相手だ」と瞬時に判断しやすくなるのです。
正面で向き合うときに比べ、脳は相手を“理解しようとする働き”を起こしやすくなります。
その結果、話が深まり、相手の反応がやわらぎ、反論が減ったりします。とても単純ですが、この配置は、向き合う関係から一緒に考える関係へ気持ちを切り替えてくれます。ほんの数十センチの違いが、会話の深さだけでなく、相手との関係の質や判断にも影響します。信頼を生む鍵は「どれだけ目を合わせるか」ではなく、「ふたりがどこを見ているか」です。
この原理は、暮らしのさまざまな場面で働いています。
・部下は、上司の正面よりも斜めの席で本音を出しやすい
・思春期の子どもは、向かい合うより車の中や横並びで話しやすい
・パートナーとは、正面の食卓よりソファの斜め配置のほうが会話が深まる
・営業では、顧客と“資料を横から一緒に見る”と同じ立場という意識が生まれる
会話がうまくいかないとき、まずは、座る向きを変えてみてください。
・正面ではなく、少しだけ斜めに
・対面ではなく、テーブルの角を挟む
・丸テーブルに座るのもおすすめ
・子どもと話すときは、横並び・斜め並び
・共有資料を置くとき、テーブル中央ではなく、ふたりの斜め前45度に置く
座る位置の小さな角度が、関係の角度を変えます。あなたは、相手と一緒の方向を見ていますか。

