世界から見ても「異形のシステム」

「科学技術は、国家が生存し続けるために最も重要な条件の一つです。文化が国の精神だとしたら、科学技術は基礎体力です。経済産業活動や安全保障、健康、医療、防災などあらゆる分野に決定的に影響します」とノーベル化学賞受賞者の野依良治は2022年末に東京新聞で主張した。

そして彼は次のように続ける。

国際的に見て、日本の科学技術力は衰退しています。二〇〇〇年頃までは、世界に冠たる科学技術を持ち、それに立脚したモノづくり産業がありました。今は違います。科学論文は減少し、企業にも最新の科学知識に基づく革新的技術がありません。政治の指導者たちは、ただ傍観するだけです
東京新聞のウェブページより引用〕。

2001年、ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏
2001年、ノーベル化学賞を受賞した野依良治氏(画像=日本学士院/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

近年において日本の欠点を心配しているのは、そして耳を傾けてくれる人に「体制の抜本改革が求められます」と叫んでいるのは、この科学界の大御所だけではない。しかし、日本の「体制」はほかのどの国のものとも異なり、極めて強い硬直性がある。日本のそれは、国際競争において他国と張り合うことのできない「異形のシステム」とさえ言われている。