ではどうするかというと、自分でスポンサーを見つけてくる。すると「面白いね」が「やってみようか」に変わる。マネジメントも込みで組み立て、明日からでもやれるというくらいの準備をする。

そして3つ目は、実現した企画がもし失敗したら責任を取ること。経営陣のみならず、社員においても仕事に対する責任をうやむやにしてはいけない。新しい企画はえてして既存の企画を否定する。だから失敗して責任を取るのが怖い。しかし、失敗を恐れて上司の言いなり、ものも言えないような社員ばかりでは組織は機能しない。

企画力、実現力、自ら責任を取る潔さ。これらを兼ね備えたのがエリートであり、社員全員をエリートにしていくことが会社の競争力を高める、と丹羽さんはいう。僕もまったくその通りだと思う。

日本経済の将来に対して悲観的な見方も多いが、僕はそう悪いものではないと思っている。不景気を理由に萎縮するのは、臆病風に吹かれるのと同じ。日本企業の技術力は相変わらず世界一だ。日本人は勤勉でよく働く。円高もあながち悪い要素ではない。日本への投資機会を狙っている海外の投資家も多いはずだ。

チャレンジ精神を失わないこと。既存の枠組みにとらわれず、必要ならば国内外を問わずあらゆる企業、組織とコラボレーションして、国際競争力を高めていくこと。それが今の経営者に求められている姿勢だと僕は思う。

(高橋盛男=構成 若杉憲司=撮影)
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