セツ自身が語った結婚秘話

ところで、「ばけばけ」のトキとヘブンの状況は、モデルになったセツとハーンのそれと少し異なる。最初にそこを明確にしておきたい。

「ばけばけ」のトキは、明治23年の秋ごろにハーンの女中になり、ハーンの借家まで毎朝、養家から通ったが、セツがハーンの女中になったのは明治24年の2月上旬ごろで、最初から住み込みだった。どういう経緯で彼女がハーンの女中になり、どうして住み込みだったのか、詳細はわかっていない。

セツ自身は、ハーン逝去25周年(1929)を記念した東京朝日新聞の取材に、「その年(註・明治23年)の十二月私は八雲の許に嫁ぎました。私の実家は古い士族ですが父は亡くなっていましたし別に反対を唱える親族もなかったのです」と答えている。