「黒い羊」に注目せよ!

テレビ番組、新聞、雑誌など、ありとあらゆるメディアで「ランキング」が氾濫している。ランキングを提示されるといかにも信憑性があるように感じてしまうが、結局、決め方がいい加減なら順位もおのずといい加減なものになる。

以前、雑誌でハンバーガーの「おいしいお店ランキング」を見かけたことがある。読者はこうしたランキングを見たとき、3位より2位、2位より1位のほうがおいしいと直感的にとらえるかもしれない。しかしそのランキングでは有名なチェーン店が並ぶなかに、ひとつだけ、数千円もする高級ホテルのバーの一品が交じっていたのだ。はたして数百円も出せば食べられるハンバーガーと数千円もするハンバーガーを、同じ土俵に乗せて一元的に比べられるものだろうか?

そうしたデータを真に受けないために、ランキングを見る際はいくつかのポイントに気を配りたい。

ひとつは「同じ条件のものを比べているのか」。質量が違うもの、時間や地域のズレがはなはだしいものを比べても、それは正確な順位とはいえない。データ作成者の印象によって漠然とランク付けされたものと考えるべきだ。

次に「誰に決めさせているのか」。年末によくミステリー小説のランキングが発表されているが、「はたしてベストを決めるのに値する読者が選んでいるのか」に着目してみる。プロの作家や書店員ならある程度の眼力があるかもしれない。だが一般のファンも参加している場合、偏りが生まれる可能性もある。

またメディアでランキングが発表されるということは、ランキングをつくっている人間がどこかに存在し、特定の意図に多かれ少なかれ誘導しようとしている。そう考えると、組織票がないか、特定の選択肢が上位に来るような恣意的な質問がないか、などにも気を配らなければいけない。