ガス管を通じて各家庭に届けられる都市ガスの原料である天然ガス。火力発電の燃料としても多く使われ、日本では近年、その割合が高まっています。化石燃料の中で、特に環境性に優れ、供給の安定性も高いといわれる不可欠なエネルギー源。今回、身近でありながら、案外知らないことも多い「天然ガス」の基礎・基本について、いくつか押さえておきたいポイントを解説します。

そもそも「天然ガス」とはどんな物質か?

英語では、「Natural Gas」という天然ガス。その名のとおり、自然界、主に地殻(地球を卵にたとえると殻の部分)の中に存在する可燃性のガスのことをいいます。種類としては、ガス田に気体の状態で蓄えられているものと、原油に溶けた形で存在するものの大きく2つがあり、主成分はメタンです。

では、メタンとは何か。化学式CH4で表されるメタンは、1つの炭素原子に4つの水素原子が結合した最も単純な炭化水素。酸素と結びつくことで燃焼します。ところで、家庭などでよく使われるガスには、もう一つ、LPガスと呼ばれるものがあります。鉄のボンベなどに入った形でよく目にするLPガスのLPとはLiquefied Petroleum(液化石油)のこと。主成分はプロパン(C3H8)で、天然ガスとは種類が異なります。

LNGという言葉もよく聞くけれど、これは?

LNGとは、Liquefied Natural Gasの頭文字。液化天然ガスのことで、常温・常圧では気体の天然ガスを冷やして液体にしたものです。メタンの沸点は-162℃のため、ここまで冷やすと液体になります。液化するメリットは、その体積を1/600に大きく減らせること。これによって、大量の輸送と貯蔵が可能となるのです。

実際、天然ガス資源のほとんどを輸入に頼る日本は、基本的にLNGの形で輸入し、液体のままタンクに貯蔵しています。ちなみに、気体に戻す際には、海水などを利用するのが一般的。沸点が-162℃のため、海水をかければ十分で、気化するのに大きなエネルギーは必要ありません。街中でも見かける大きな球体のガスタンク(ガスホルダー)には、気化され、臭いが付けられた都市ガスが入っています。

天然ガスは、なぜクリーンなエネルギー源といわれるのか?

先に示したとおり天然ガスの主成分であるメタンの化学式はCH4。炭素原子(C)は一つだけで、燃焼時のCO2排出量が少ない化石燃料です。図のとおり、その値は石炭を100とした場合、およそ60。なお、石油はおよそ80になります。

また、人の健康に悪影響を及ぼす大気汚染物質である窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)についても、燃焼時の排出量は天然ガスが主な化石燃料の中で最も少なくなっています。

もともと天然ガスは不純物が少なく、加えて冷却して液化する際に硫化水素や二酸化炭素、水分などを除去することもあって、とてもクリーンに燃焼するのです。