天然ガスのエネルギー効率を上げる注目の技術とは?

キッチンで料理をするのに、お風呂のお湯を沸かすのに、普段の暮らしの中で当たり前に使っている天然ガス(都市ガス)ですが、その活用の領域は広く、長年効率利用の研究も重ねられています。ここでは代表的なものを2つほど紹介しましょう。

一つ目は、「ガスコンバインドサイクル発電」。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式です。この方式では、まず圧縮した空気と天然ガスを混ぜて燃やし、そこで発生するいわば爆発による膨張力を使ってタービンを回します。ガスタービンを回した排気ガスは、まだ十分な熱をもっているためこれで蒸気を発生させ、今度は蒸気タービンを回す。つまりダブル発電です。

日本でガスコンバインドサイクル発電が普及し始めたのは1980年代。ガスの燃焼温度は1100℃程度でした。当然、燃焼温度が高いほど発電効率もアップするわけですが、現在はこれを1500℃級まで高めたものも実用化されており、さらに発展途上。熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率については、当初40%台の後半から60%近くにまで向上しており、日本の技術は世界最高水準を誇っています。

そしてもう一つ、天然ガスの効率利用で日本が高い技術力を発揮しているのが「ガスコージェネレーションシステム」。ガスのエネルギーで電気をつくり、その廃熱を給湯や冷暖房などに利用するシステムで、発電方法としては主にガスエンジンを使うもの、ガスタービンを使うもの、燃料電池によるものの3種類があります。

ガスコージェネレーションシステムのメリットの一つは、いわゆる“分散型エネルギーシステム”に適していること。電気を使う場所で発電を行うため、送電によるロスが極めて小さく、熱エネルギーも有効に利用することができます。そのため、利用困難な廃熱を除いて、一次エネルギーの7~9割が有効利用されるのです。

エネルギーの分野では「熱のカスケード利用」という言葉が使われることがあります。カスケードとは、本来、階段状に水の落ちる滝のこと。1500℃ほどの高温エネルギーをガスタービン発電に使い、その廃熱を蒸気タービン発電に利用。さらに300℃程度の蒸気を工場などで使い、100℃の高温水を冷暖房に、80℃のお湯を給湯にと活用していくことができるコージェネレーションシステムは、まさに熱のカスケード利用の理想型といえるでしょう。