高市政権は圧倒的な支持率を誇るが…

現状、高市政権の支持率は(調査機関にもよるが)60%後半から70%台と高い水準を維持している。世論は、高市政権の大型経済対策を評価していると考えられる。確かに、一時的なインパクトとして、今回の経済対策の実施により10~12月期のわが国の実質GDP成長率がプラスに反発する可能性はある。

ただ、長い目で見て持続的に経済が望ましい方向に向かうかといえば、疑問の余地もあるだろう。現在の世界経済では、AI(人工知能)、AIを搭載したヒューマノイド(人型ロボット)の成長期待は高まっている。

わが国にとって、関連分野で研究開発を支援し、起業や設備投資の増加を支援する必要性は高い。それと同時に、支援策の財源を確保し、財政の健全化を推進することも求められる。構造改革に伴う失業などに対応するため、学びなおしや職業訓練を拡充する。それは、あるべき経済政策の一例といえる。

今までのところ、高市政権はこうした方策をあまり示していない。高市政策で、中長期的にわが国経済がどう成長し、わたしたちの生活がどうなるか、具体的なイメージを持つことは難しい。海外の投資家の中にも、高市政策の先行きに不透明感を持つ者は多いようだ。

食料品も住宅ローン金利も高くなる

物価上昇率が3%程度で推移する中、高市首相は国債を増発し、危機管理投資や成長投資を推進しようとしている。それに伴い、金利にも追加的な上昇圧力がかかる展開が想定される。

積み上げられたコインの上にミニチュアハウス
写真=iStock.com/jaturonoofer
※写真はイメージです

財政の持続性への懸念上昇から、円を売る投資家も増えるだろう。物価、金利、為替の3つの課題は相互に影響し合い、長い目で見ると、わたしたちの生活負担は上昇すると懸念される。

食料や日用品の価格上昇、住宅ローン金利や中小企業などの借入金利の上昇、さらには輸入物価上振れと、高市政権下でわたしたちの生活は一段と苦しくなる恐れは増すだろう。

政府は、一時的な痛みを伴うものの、中長期的なわが国経済の実力向上に必要な構造改革を実行する必要がある。その対応が遅れることにより、世界経済における日本経済の地位が低下することにならないか、とても気がかりだ。

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