韓国や台湾の海産物も輸入禁止にすべき
仮にリスクアセスメントができたとしても、SPS協定は、異なる状況で異なるALOPを設定することは可能だが、それは恣意的または不当な差別であってはならず、貿易に対する差別または偽装された制限であってはならない(第5条5)。
中国はALOPを明らかにしていないが、同じくトリチウムによる健康被害を問題にするなら、基本的には日本産のみに高い水準のALOPを設定することはできない。異なる扱いをするのであれば、それは“恣意的または不当な差別”ではないことを示さなければならない。また、同じくALOPを達成できる複数の措置があるときに、とられた措置が他の措置と比べて(ある程度は貿易制限的であっても)相当に貿易制限的なものであってはならない(第5条6)。
ALOPだけでなく、SPS措置についても、同一または同様の条件にある加盟国・地域間において、恣意的または不当な差別となってはならない(第2条3)。
(同一の条件にあるとは思えない)福島周辺の水域とそれ以外の日本の海域を含めた水産物全てを輸入禁止する根拠があるのか。福島周辺の水域以外の日本の海域と接する韓国や台湾など、同一の条件にあると思われる水域からの輸入を制限しない理由は何なのか。(日本と比較可能と思われる条件において)日本より多量のトリチウムを排出している中国の原子力発電所周辺でとれた水産物の流通を禁止しないのはなぜか。輸入禁止という相当に貿易制限的な措置をとらなければALOPは達成できないのかという点を、中国は説明しなければならない。
中国の分が悪いのは事実だろう。
(初公開日:2025年11月20日)


