バッグ好きの妻と車が趣味の夫が罵倒合戦
夫婦でお金の話をするのは、意外と難しいものです。私のところへ相談にみえる方の多くが「話すとケンカになるから」とお金の話題を避けています。
特に共働き夫婦は互いに「自分の裁量で使えるお金を減らしたくない」「お金のことでパートナーに責められたくない」という気持ちも強いのでしょう。話し合わなくても月々の生活がうまく回っていると、双方が現在の家計や貯蓄がどんな状況なのか、把握していないケースが少なくありません。
けれども、お金のことを話さないでいることは、将来のリスクになります。教育費や住宅費、老後資金といった大きな予算は、世帯単位の問題だからです。お金の話題を、夫婦のタブーにするべきではないのです。
私が出会ったあるご夫婦は、妻がバッグ好きで、夫は車が趣味でした。互いに「それ、必要?」と思っているのですが、自分の趣味は譲れません。私の事務所へ相談に来られて、話し合いが始まりました。夫が「似たようなバッグがいくつもあるじゃないか」と指摘すると、妻は「あなたの車だって見た目だけのパーツがいくつも付いているじゃない」と反論していました。
こうしたケースで何よりも大切なのは、「相手の趣味や嗜好を否定しないこと」です。趣味は気分転換やストレスを解消する要素が多分に含まれています。他者が否定的に指摘すると意固地になって、議論がこじれるだけです。「自分のほうが稼いでいるんだから多く使えるのは当然」と収入の多寡を持ち出したり、相手なりに出費をセーブしているのに「また新しいのを買ったの」と不満を言ったりするのもNG。一瞬で場の空気を悪くするでしょう。
こんなケースで私がおすすめするのは、趣味の出費の「予算化」です。好きなことに使うお金をそれぞれ「年間いくらまで」と決め、合意しておくのです。お互いの好きなことや楽しみを尊重しながら家計を整えるのが、夫婦の衝突を避ける第一歩です。
家計を「見える化」してライフプランを話し合う
予算化の次は「情報開示」です。あるご夫婦は、夫が「家に入れるお金は増えているのに、自分のお小遣いはそのまま」と不満を抱いていました。妻も「生活費の使い方に細かく口を出されるようになった」と感じ、互いに不信感が募っていました。
そこで私が提案したのは「家計の見える化」でした。お互いの口座や貯蓄を一覧にして、相互に確認してもらったのです。すると、妻がしっかり子どもの学費を貯めていたことがわかり、夫も「そういうことだったのか」と納得できたのです。どちらか一方が家計を管理していると、もう一方は見えない不安を抱きやすくなります。数字を示して誤解が解ければ、空気が和らぐこともあるということです。
ただ“見える化”を嫌がる方もいます。自由に使えるお金が減らされるのでは、という不安があるからです。特に専業主婦家庭では、家計の見直しというと真っ先に「夫の小遣い」を減らすケースが多いのですが、それは夫の働く意欲を削いで逆効果になります。稼ぎ手のモチベーションを下げるより、保険の見直し、通信会社の切り替え、サブスクの整理などの固定費から見直すほうが建設的です。
また、無駄遣いしていたパートナーに少しでも改善の努力が見られたら、まずは認めて褒めることが大切です。「家計の立て直しに協力してくれてありがとう」「我慢してくれて助かってます」などと言葉にして伝えるだけでも効果があります。褒められると、人はもう少し頑張ろうという気持ちになるものです。「予算内」に収めることを約束し合い、定期的なチェック体制があれば、問題は深刻化しません。お金の透明性は、夫婦の信頼関係を支える重要な土台なのです。
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