客席に興奮の渦を巻き起こした「シンデレラ」

彩さんが主演したのは9月6日、9日、13日、15日の4回。演目はジョアキーノ・ロッシーニが作曲し、1817年にローマで初演された《ラ・チェネレントラ》だった。「チェネレントラ」はイタリア語で「シンデレラ」を指す。彼女は文字どおりシンデレラ物語を駆け上がったのだ。

しかも、このロッシーニのオペラは超自然的な要素が希薄で、カボチャの馬車もガラスの靴も登場せず、人間ドラマとしての側面が強調されている。それだけに、シンデレラ物語がいっそうの現実感を帯びたともいえる。

「チェネレントラ」(イタリア語で「シンデレラ」)を見事に演じていた。
©Teatro alla Scala
「チェネレントラ」(イタリア語で「シンデレラ」)を見事に演じていた。

チェネレントラ、すなわちシンデレラとは「灰かぶり姫」のことで、このオペラでの役名はアンジェリーナという。コロラトゥーラという言葉を聞いたことがあるだろうか。細かく速い音符を連ねて旋律を飾り、声を転がすようにして歌う歌唱法のことで、アンジェリーナ役は随所で、難易度の高いコロラトゥーラの旋律を歌わなければならない。