名目賃金はすぐには上昇しない

実質賃金をプラスにするには、実額である名目賃金を上げるか、あるいはインフレ率を下げるかしかありません。

派遣やパートの人たちの賃金はその時点での需給で額が動くこともありますが、正社員の給与は日本では賃上げの大筋は春に決まることが多く、この秋での日本全体での大幅な賃金改定は考えにくい状況です。

そして、雇用情勢にも変化が見え始めました。雇用はまだ不足感が強いですが、その中で、図表1にあるように完全失業率は7月の2.3%から8月には2.6%まで悪化、さらには7月には1.22倍だった有効求人倍率(求職者数÷求人数)が8月には1.20倍に低下しました。まだ、雇用は安全水域ですが、そろそろピークは越えた感があります。賃金上昇圧力も弱まりつつあるのです。このような状況では名目賃金を上げるというのはかなり難しいと考えられます。