2種類の「自己責任」
そして、福祉現場でも、あるいは学生と接していても、「取るべき責任」の範囲を遥かに超えて、「取れるはずのない責任」を「自己責任」として抱え込んでいる人がいるように、私には思えてしまいます。そんな「骨の髄まで自己責任」だとしんどくありませんか? 抱え込めない責任を手放して、迷惑をかけあってもいいのではないでしょうか。
これに関して、政治哲学者の玉手慎太郎さんは興味深い議論をしています。彼は自己責任には「後ろ向き(backward-looking)」の責任と「前向き(forward-looking)」の責任の二つがあるとした上で、両者を以下のように定義しています。
・後ろ向き責任:過去の特定の行為から生じた損失の補償を、当人が個人的に引き受けることを要請する規範
・前向き責任:当人の置かれた状況に応じて、将来ある特定の行為を遂行することを望ましいものとみなす規範
(玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学:国家は健康にどこまで介入すべきか』筑摩選書、175ページ)
・前向き責任:当人の置かれた状況に応じて、将来ある特定の行為を遂行することを望ましいものとみなす規範
(玉手慎太郎『公衆衛生の倫理学:国家は健康にどこまで介入すべきか』筑摩選書、175ページ)
前者は、自動車を運転していて止まっている他の車にぶつけてしまったので、その損失の補償を運転していた人が引き受けなければならないなど、起こってしまった事に対する結果責任です。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
プレジデントオンライン無料会員の4つの特典
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能
