ビジネスをめぐる状況が刻々と変わるいま、我々には、どのような課題や能力が求められているのか。今回、アンケートの調査結果をもとに、ライフネット生命副社長・岩瀬大輔氏がアンケート結果を分析。8つの力に収斂させた。データと実践のためのヒントをお届けしよう。
情報はインターネットと新聞のどちらから得ているのか。これについては年収によって明らかな差が出た。
「ネットを見るだけでなく、紙の新聞を購読している」人は、1500万円以上では43.9%、500万円台では26.6%。1500万円以上稼ぐ人の半数近くが、ネットと紙媒体の両方から情報を得ている結果となった。
問答無用。結果がすべてを物語っている。ネットで新聞のニュースをチェックしているだけの人は、いますぐ紙の新聞を購読してほしい。
もう1つ注目したいのは、「紙の新聞を1紙だけでなく、2紙以上読んでいる」という設問だ。500万円台では6.3%であるのに対し、1500万円以上では32.1%と5倍以上の差がついた。つまり、稼げる人ほど2紙以上の新聞を購読している割合が高いのだ。
なぜ2紙読む必要があるのか。それは、新聞といえども真実が書かれているわけではなく、1紙に頼るのは危険だからだ。新聞に書かれているのは、あくまで書き手による主観なので、真実に迫るなら2つの異なる目線から見なくてはならない。それが自分の頭で考えるということであり、世の中に起こることを正しく理解することにもつながる。
私は以前から日経新聞を読んでいたが、つい最近、朝日新聞も読み始めた。驚いたことに、この2紙では世界観がまったく違う。
特に衝撃的だったのは、朝日新聞の紙面には高齢者向けの広告があふれていたことだ。これは読者層の違いからくるものだが、こうした日本の高齢社会の実態は、日経新聞を読んでいるだけでは感じることができなかっただろう。
ちなみに朝日新聞は月3925円、日経新聞は4383円。これで稼げるビジネスパーソンに近づけるなら、安い投資ではないだろうか。
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ネットで検索した内容を片っ端からブックマークする人がいるが、ネット上にあるとわかっている情報を手元に集めても意味がない。情報は集めることでなく、使うことが目的。使うことを前提に、必要な情報を取捨選択することのほうが大切である。同じ理由で、私は紙の資料もファイリングしない。参考になる部分だけを書き写して、自分の記憶に定着させるほうが効果的だ。
1976年、埼玉県生まれ。98年東京大学法学部卒。大学在学中に司法試験に合格。米ハーバード経営大学院に留学後、ライフネット生命の設立に参画。著書に『入社1年目の教科書』など。