ひよこ豆2万トンとコメを交換、政府も物々交換を推奨

ロシアは昨年、すでにパキスタンとの物々交換を行っている。

ブルームバーグが昨年10月に報じた内容によると、ロシア交易企業のアスタルタ・アグロトレーディングは、西側の制裁で越境決済が困難になった対策として、パキスタン企業と物々交換契約を締結した。

ロシア国営のタス通信によると、モスクワで開催されたパキスタン・ロシア貿易投資フォーラムで署名された協定に基づき、ロシア側はパキスタンに2万トンのひよこ豆を供給し、パキスタンのメスケイ&フェムティー・トレーディング・カンパニーは同量のコメをロシア側に提供する。

さらにロシア側は、ミカンなども物々交換で入手したい意向だ。1万5000トンのひよこ豆と1万トンのレンズ豆を供給する代わりに、パキスタンから1万5000トンのミカンと1万トンのジャガイモを受け取る計画としている。

ロイターによると、ロシア経済発展省は2024年に「外国物々交換取引ガイド」と題する14ページの文書を発行している。ロシア企業が制裁を回避する手段として、物々交換を導入する方法を指南する内容だ。

文書は「外国貿易で物々交換取引を用いることで、国際取引を必要とすることなく、外国企業と商品やサービスを交換できる」と述べ、制裁下ではこの方法が有効だと強調している。文書はさらに、物々交換取引所の機能を請け負う取引プラットフォームの創設まで提言している。

ウクライナの独立系英字メディア、キーウ・ポストは、ロシア・アジア産業起業家連合のマクシム・スパスキー事務局長の発言に注目。スパスキー氏は「物々交換が増えているのは、脱ドル化、制裁圧力、パートナー間の流動性に問題があることの兆候だ」と語り、今後物々交換の量はさらに増加する可能性が高いと述べている。

国際送金システムからの排除が利いている

こうした前時代的な物々交換にロシアが陥った原因に、ロシアの銀行がSWIFT決済システムから切り離されたことが挙げられる。

ロシアの対外貿易で物々交換が導入されるのは、1990年代以来初となる。1991年のソ連崩壊を受けロシアと西側の経済が統合されて以降、実に約30年ぶりの復活となった。

ロシアは1990年代、ソ連崩壊後の経済的・政治的混乱の中で、急激なインフレと慢性的な資金不足が進行。広くロシア全土の企業が、現物での支払いを受け入れざるを得なかった。

ロイター通信は、物々交換が当時、経済の混乱に拍車をかけたと指摘。電気や石油から、小麦粉・砂糖・ブーツといった日用品に至るまで、あらゆるものについて膨大なパターンの“交換価格表”が出現。価値設定が複雑化する一方、混乱につけ込んだ一部の人々に莫大な富が集中したという。

財政赤字は8月までに年間目標を超過した

物々交換と並んでロシア経済に混乱をもたらしているのが、景気の冷え込みだ。

ロシア経済は国際的な制裁にもかかわらず、政府が支出する戦費を原動力とし、2年以上にわたり急成長を続けてきた。しかし今、その成長は急速に鈍化している。