氷山に衝突後、意外にも衝撃は少なかった

1912年4月14日の午後11時40分、見張り台にいたフレデリック・フリートとレジナルド・リーが前方に氷の塊を発見する(のちに重さ約150万トンと推定されている)。船との距離は500メートルもない。イギリス海軍の船と違ってタイタニック号はスポットライトを搭載していないため、巨大な氷山が海面から30メートルあまりにそびえていても夜の闇に紛れて姿がわからなかった。

そして気づいたときには遅すぎた。見張りのフリートがブリッジ(船橋)に電話で知らせたときには、容積およそ5万トンの船が北大西洋を22ノット(時速約41キロ)の高速で疾走していた。そのままのペースでは衝突まで37秒しか残されていない。

氷山発見の一報を受けて、タイタニック号はエンジンを逆回転させながら船首をめいっぱい左に向けた。だが間に合わなかった。正面衝突は避けられたものの、午後11時41分に船は斜めに氷山に衝突して右舷前方を100メートル近くこすった。