渡邉恒雄の「畏怖の哲学」

主筆室で渡邉は時々、小さな手帳を取り出すことがあった。そこには主要幹部や関連会社役員の入社年次や役職が記してあるらしい。

雑談をしているときに、その手帳を不意に取り出し、「君は1975年入社だから、定年までまだ何年も残っているな」と言われると、さすがに身が固くなった。読売のドンは案外冷静に眺めているのかもしれない、という気持ちが湧いてくる。

彼は畏怖の哲学のようなものを持っており、巨人球団社長の桃井恒和や私にまで、幹部としての心得を説教した。