腸はただの消化器官ではない

腸について詳しく解説する前に、まず、読者のみなさんに、「腸が人間にとって、どれほど重要な臓器であるか」をしっかりイメージしてもらいたい。

腸は、口から肛門まで連なる1本の長い消化管のうちの「腸管」と呼ばれる部分で、食物の消化・吸収を担う主役だ。この腸管は、体内(血管や臓器の内部)への“入り口”にあたる。私たちはこの管を通じて栄養素を取り入れ、エネルギーを得て、進化してきた。

進化学・発生学の観点から考えると、腸管はきわめて古い起源を持つ臓器であることがわかる。たとえば、クラゲやヒドラといった腔腸こうちょう動物のような原始的な多細胞生物でさえ、口と消化腔(腸にあたる構造)を持ち、外から食物を取り込み、内側で消化する仕組みを備えている。