笑わない眼

まず、眼光が鋭くなる。ジョークは消え、記者団のカメラの放列などへの意識も消えていく。現場に集中し、細部にまでとことん注意を払うのだ。こうなるともう、質問など投げかけられる雰囲気ではなくなってしまう。気持ちが入り込んでいて、眼は決して笑わない。

この笑わない眼が、世界中のスズキで働く5万4484人の社員(2012年)、さらにはサプライヤーや販売会社などを合わせれば10万人以上を支えているように、筆者には思えてならない。

ショールームに展示されたタイ工場製のスイフトの前で歩みを止めると、静かに後部ドアを開ける。音や塗装の仕上がり具合を観察しているようだったが、さらに店舗の奥のバックヤードへと入った。