なぜ「20代、30代の女性層」に刺さるのか

もちろん、吉沢亮と横浜流星という当代きっての演技派俳優2人の出演は大きい。李監督が「彼(吉沢亮)がいなければ映画として立ち上がらないし、彼がいることで出発できる」と断言し、また、以前にも組んだ経験をもとに「(横浜)流星のひたむきさやストイックな姿勢に、もう1回懸けてみよう」(ともにパンフレットより)とした、その決意が結実している。

また、映像の美しさは、撮影のソフィアン・エル・ファニアに依るところが大きい。フランス映画『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)で、カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを獲得した世界観は、日本文化を描く本作では、その繊細さをとらえる点で、見事な化学反応を起こしている。

ほかにも、脚本の奥寺佐渡子や美術監督の種田陽平のすばらしさなど、スペースがいくらあっても足りないほど、ヒットの背景は、いくらでも挙げられる。プレジデントオンラインで毎日新聞記者の勝田友巳氏が分析する通り、「2025年屈指の一作であることは間違いない」。(〈映画「国宝」は豪華で美しいのに「どこか物足りない」…興収50億円を見越す大ヒット作で“描かれなかったこと”〉)