顧客の悩みを熟知するパート

※グラフの数値は2008年度実績ベース。セブン&アイ・ホールディングスはスーパーストア事業の数値。

埼玉県を中心に食品スーパーを104店展開するヤオコーが元気だ。収益性の高さは群を抜き、2008年度の連結ベースの実績は、スーパー業界トップであるイオンの営業利益率2.37%を上回る3.92%。09年度も業績は好調で、営業利益は前年度比6.3%増の86億8000万円と過去最高を更新し、営業利益率も4.14%へアップする見込みだ。

消費不況が叫ばれ、小売り業界では熾烈な安売り合戦が繰り広げられている。そうしたなかにおいて同社は「豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケット」というコンセプトの下、多様化、個性化、高度化する顧客のニーズに応えられる店づくりで差別化を図り、高収益体質への転換を図ってきた。

店頭では同じ主婦である顧客の献立の悩みにパートが丁寧にアドバイスしている光景がよく見られる。そのことがリピートへとつながっている。

「日本人も舌が肥えてきて、単に安いというだけでは満足してもらえない。美味しさの提案も大切だ。しかし、主婦の皆さんは実は買い物が苦手で、『今夜のおかずは何にしようか』と日々の献立に苦心している」と川野幸夫会長はいう。

ではどうしたら、そうした主婦の悩みやニーズを敏感にキャッチできるのか。立地条件などによって、商圏内の顧客の嗜好は大きく変わってくる。近くに小学校があって運動会が開催されれば、ウインナーなど弁当用のおかずが急に売れたりするもの。そうした定性情報はPOSシステムなどで吸い上げることは到底できない。