イライラする気持ちを鎮めるのにはどうすればいいのか。教育コンサルタントの嶋津良智氏は、「脳が疲れていると、なにを言われても怒りが湧いてきてしまう。イライラを抑えるには、寝るのが一番いい」という——。

※本稿は、嶋津良智『なぜ、突然妻はキレるのか?』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

お前が間違っている!と妻を指さし怒りに満ちている夫
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自分の感情は自分で選べる

夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル/みすず書房)という本があります。精神科医であり心理学者である著者が、ナチス強制収容所での実体験をもとに考察したものですが、この本のなかに次のような一節が登場します。

「あらゆるものを奪われた人間に残されたたった一つのもの、それは、与えられた運命に対して自分の態度を選ぶ自由、自分のあり方を決める自由である」

これは、どんな極限状態にあっても、自分の感情をどう表現するかは自分自身で決めることができるということです。イライラやムカムカは、相手に与えられたものではなく、自分で選んでイライラ、ムカムカしているのです。

たとえばAさんに、間違いを指摘されてイライラしたとします。でも、同じことをBさんにされても、イライラしなかったというような経験があるでしょう。ですが、別の日にBさんに同じことを言われたら、今度はキレてしまうかもしれません。

これはあなた自身が自分で感情を選んでいるということです。相手によって感情を選んでいるのです。たとえば、新婚当時はラブラブだったのに、いまでは顔を合わせれば怒鳴り合うようになってしまった夫婦がいます。これも決して、「相手のせいで怒鳴った」わけではありません。自分が相手を怒鳴ろうという明確な意思決定のもとに行動を起こしているのです。他人のせいにして自分を正当化してはいけません。それは逃げているだけです。