スーツで家事する主夫も

妻が一家の大黒柱として働き、夫が家事・育児の全面を担う。そんな新たな家族の形が出現している。

“東大卒主夫”としてメディアで活躍中の堀込泰三さんは、「10年ほど前は、日中買い物をしているだけで奇異な目で見られ、子どもを病院に連れていけば『お母さんはどこですか』と聞かれたものですが、少しずつ世間の視線は柔らかくなってきている」と語る。

東大大学院を卒業し、大手自動車メーカーに就職した堀込さんだが、妊娠した妻の職場に育休制度がないことが判明、代わりに2年間の育休を取得し「主夫」生活がスタートした。その後、仕事に復帰するも、海外赴任中の妻子との離れ離れ生活に耐えられず退職。専業主夫時代は自らの収入が0円となり、妻の扶養に入ったという。

日本では2017年度に、妻の扶養に入っている国民年金の第3号被保険者の男性は約11万人。もちろん彼ら全員が「主夫」とは限らない。だが「秘密結社主夫の友」には、全国の「主夫」からの声が続々と集まってくる。

「主夫になった背景はさまざまですが、多く聞こえてくるのは、『思った以上に主夫生活は楽しい』というものです。確かに同世代が着実にキャリアを積み上げているのを見ると羨ましい気持ちがないわけではありませんが、何物にも代えがたい喜びもあるんです」