未成年の性の悩みは解決できるのか

誰でも、人生のどこかで経験する「孤独」。そして多くが持っている「性」。2つのテーマはとても身近だが、オープンに話されることは少ない。

本書の著者である坂爪真吾さんは「性の公共」をつくるという理念のもと、障がい者の性の問題などに取り組む一般社団法人ホワイトハンズを2008年に設立した。14年には社会貢献支援財団から社会貢献者表彰を受けた。

「僕みたいに社会活動をしている人は、何かしらの『孤独』な時期を経験した人が多いと思います。その孤独の中でいろいろ寛容できるようになり、活動しているのだと感じます」

本書は18歳の男子から寄せられた性の悩みや質問に答えていく形式で進んでいくが、坂爪さんの高校時代、恋人どころか友達もいない孤独な青年も描かれている。東大合格だけを目標に、友人や異性とは群れずに“単独行動”を貫いた。しかし、志望校に落ち、自殺も考えた。そんな坂爪さんが伝えたいこと、それは「他者と繋がれない苦しさに悩む前に、自分自身と繋がること」だという。

「抽象論や理論的ではなく、書いている人間がどういう人だったのか明示しないと読者に伝わらないと思ったんです」

世界的なMeToo運動を背景に、日本でも少しずつ女性の人権に関する議論がされるようになった。本書には「セクハラ」問題の本質を考えるうえで、ヒントになるようなことも綴られている。坂爪さんは「人として扱われない経験の苦しさから、世間からモノ扱いされていると感じている男子ほど、女子をモノ扱いするようになる」と話す。