決して年収は高くないのに、お金を貯められる人がいる。どこか違うのか。雑誌「プレジデント」(2017年2月13日号)の特集「金持ち夫婦の全ウラ技」より、人生の3大出費のひとつ「住宅」にまつわる知恵をご紹介しよう。第3回は「財産形成」について――。(全12回)

30年後も物件価値が同じなら持ち家派が有利

「毎月住居費を払うなら最後には自分の資産になる持ち家がいい」という人は多い。逆に「転居や家族構成の変化に応じ住まいを変えられる賃貸の自由さがいい」という人もいる。持ち家派は住まいと財産形成を兼ね、賃貸派は住まいと財産形成を別々に考える。つまりは価値観の違いであって「正解」はない。

ただ、同じ物件に同じ期間、分譲/賃貸で住んで、最終的に財産が残っているほうが勝ちとするなら、30年後も物件価値/賃料が同じならほとんどのケースで持ち家派に軍配が上がる。

持ち家派が圧倒的に不利になるのは、ローン返済中に何らかの事情で転居しなければならなくなったとき、物件の価値が大幅に値下がりしていて「売るに売れない、貸すに貸せない」窮地に陥ってしまう場合だ。

今後の不動産市況を考えたとき、こうした事態になるのは決してレアケースとはいえない。国立社会保障・人口問題研究所は、日本の総世帯数が2019年の5300万世帯をピークに、35年には4955万世帯まで減少すると推計している。世帯数が減れば、需要減から不動産価格も必然的に下落する。

また、シンガポール国立大学の清水千弘教授は、都市の不動産価格を形成する要素(GDP成長率、1人当たりGDP成長率、現役世代負担率の変化率)を分析し、2040年には東京の住宅価格が2010年よりも約6割も減じる予測を立てている。