起こりうる“いいこと”を想像する力

どうにもやる気が出ない日というのはあるものだ。そこで起こりがちなのは、やらなかったときに起こる「怒られる」「困ったことになる」といったネガティブな感情ではないだろうか。このネガティブな感情が、より一層「やりたくない」感を生み出しがちだ。

このネガティブな感情を裏返してポジティブにとらえるだけで、やる気につながりやすくなる。たとえば、やらないことで何が起こるかを考えるのではなく、やることで「仕事で認めてもらえる」「報酬がアップする」「みんなの喜ぶ顔が見られる」……など、どんな「いいこと」が起こるかを思い浮かべてみるというわけだ。

まず必要なのは、「やる気を出したあとで起きるいいことを想像」できる「ポジティブな思考づくり」である。

ハーバード大学でポジティブ心理学の講座を持つベン=シャハー博士は、「ちょっとしたことでもいいので、毎日、楽しかったことや、感謝したいことを思い出して書き出すといい」としている。大切なのは、ポジティブなことに思いを巡らせるうちに、喜びや感謝の気持ちを再度体験すること。今日は何を書こうかという考えが習慣化すれば、周りに起きるいいことに気づきやすくなるというものだ。

心理学者のロバート・エモンズとマイケル・マッカローは、被験者を2つのグループに分け、1つのグループには「ちょっとしたことでもいいので、毎日、感謝できることを5つ書いてもらう」という実験をしている。結果は、毎日この習慣を繰り返したグループは「人生をよりポジティブに捉えられるようになった」「幸福感が高まり、睡眠や心のゆとりが改善された」としている。

ポジティブな思考ができるようになれば、それはやる気につながっていく。まずは、このポジティブな思考づくりから試したいものだ。

では、次にやる気につながる“動機づけ”を見ていこう。