なぜ金曜日のお昼にメールを送るのか

森ビル 設計統括部 第二設計部設計企画グループ 本島まい氏●1975年生まれ。千葉大学工学部建築学科卒業、同大学院自然科学研究科デザイン科学専攻修了。2001年入社。住宅の商品企画、マーケティング業務を経て、06年より現職。

森ビルの設計統括部に在籍する本島まいさんの1日は、朝8時にデスクにつくところから始まる。始業時間前に、業界紙、雑誌、ウェブなど、拾える限りの情報を拾うためだ。競合他社のビッグプロジェクトなどはもちろん、小さな町のトレンドまで、アンテナにひっかかるものをチェックしていく。

そうやって朝拾った情報は昼休みの時間帯にA4・2枚程度のリリースふうにまとめて社内メールで流す。午前中に頭の中で構成を考えておき、昼休みに編集作業をするため、ランチは自分のデスクで30分で取る。配信時間は毎日12時半頃だ。

「忙しい時間帯だとメールもまともに見られないことがありますよね。多くの人が少しゆったりするお昼の12時半頃なら、読んでもらえるかもしれないなと思ったんです」

プロモーションの経験もある本島さんの作った資料は、目をひくタイトルや写真つきで非常にインパクトがある。

設計のアイデアはメモ帳とデジカメに
気になる建物や物件に出合うと、カウンターの高さ、素材など、気になったことをメモ帳に残す。これが設計のアイデアとなっている。街中ではデジカメで撮影して残すこともあり、休日も持ち歩く。

「他社のプロジェクトなど硬い記事は週の前半に流します。軽い話題、例えばユニークな喫煙ブースや、海外の空気でふくらませる橋なんかの情報を出すのは金曜日。ユニークなものもたくさんつくっている当社の人にとりあえず知っておいてほしい情報は、ちょっとリラックスできる『花金』に流すんです」

本島さんは営業と設計の仕事を経て、その2つの仕事の橋渡しをする設計企画グループに自ら希望して配属された。現在、「六本木五丁目プロジェクト」など、街をまるごとつくるプロジェクトの設計管理が主な仕事。社内外のさまざまな人との臨機応変な調整が求められる。

「設計士として図面をひくときに、今そこに何が求められているのか、マーケティング的な視点が必要なんですね。そこに必要な情報と、図面との橋渡しをするような仕事をしたいと思って異動希望を出したんです」