小・中学生の親にとって、わが子の就職活動なんて「まだまだ先の話」だろう。そんなことより、今日勉強をがんばってくれて、来月のテストでいい点を取ってくれて、優秀な学生が集まる大学に進んでくれたら、どれだけ素晴らしいことか。でも、どんな子にだって「その先」がある。待ち受ける現実を覗いておこう。

京大生であるにもかかわらず、就職できない学生がいる――。この情報が飛び込んできたときのプレジデントFamily編集部の反応は「まさか」と「やはり」が混在した複雑なものだった。

「企業がいくら人物本位の採用を標榜(ひょうぼう)しているとはいえ、それは多分に建前である。短期間に多くの学生の中から有能な人材を見いだすためには大学名による選抜がもっとも効率的である。よって京大生が就職戦線で敗れるなんてことはありえない!」

まさか派は強弁する。一方のやはり派はそれを揶揄(やゆ)する。

「いやあ、そうは言っても、いまビジネスの世界でいちばん求められるスキルはコミュニケーション力ですからね。高学歴でも周囲とうまくやれない人って、うちの会社にもいるじゃないですか。やっぱり企業としては、その手の人材は敬遠しますよ、いまどき」

聞いていた筆者の心中は、まさか3割、やはりが7割といったところだった。京都大学は偏差値的なブランド名としては申し分ない。しかしながら、どこか天才と奇人・変人をともに輩出する、学術重視の大学というイメージもある。ヘンクツな研究者然とした学生ならば、就職戦線からはじき飛ばされるということもあるのかもしれない。

この学生に会えるというので、まさか派、やはり派混交の我々取材班は、待ち合わせ場所である大阪に急行した。