企業と同様、長期・中期・短期の計画を立てる。長期計画はどちらかといえば「幸せな家庭をつくる」といった理念に近いが、短期計画は毎年の予算編成だ。年始に収支の予想を立て、年末に実際の収支と比較し、分析する。

「問題は中期計画です。『子供はあと5年で1人前』といった家庭の節目に基づいてつくるのですが、数字を相当入れ込むことが必要条件。例えば、車の減価償却のような専門的な知識も必要です」

ファイナンシャルプランナー(FP)に頼むか、夫婦のどちらかがFPの勉強をするのが理想だ。AFP、CFPの2種類あるFPの資格のうち、よりやさしいAFPを目指すので十分だろう。

「『60歳で1億円』という長期目標を逆算すると、少なくとも30代後半には家庭株式会社として『貯める』という意思決定をしないといけない。そう簡単に貯まる額ではありませんからね」

すると、1年の貯蓄の目標額も自然と決まり、金利計算もするようになる。

「こうして、家計が計画的に運営できるようになります。退職金や遺産相続といったフロックが数回あっても、1億円はやはり困難かも。でも、目標を立てて無理だと判断するのと、ただ単に金を余らせようとするのは大違いです」

現在、資産が9000万円に迫る河村氏は戦時中、幼少の身で大病を患い、「自分は体が弱い。長く生きられない」と覚悟を決め、「最大限の時間の活用」を常々考えるに至った。まさか70すぎまで生きるとは思わなかった、と笑う。

「やはり人生は計画的に渡っていかないといけないと思います」

立てた目標に向けて着々と手を打つ。それを面倒がらずに実行することが、“安心”を手に入れる必須条件なのだ。

●株式で稼ぐには中長期保有で
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50歳を目前に1億円を達成

室井氏の投資手法は、安値のときに仕込んだ優良株を高値圏に達したと判断したときにすべて売却するスタイル。次なる仕込み時までじっくり待つことで、高値掴みを防ぐことができる。休むも相場、だ。

●多様な収入源を持つ

河村氏の持つ顔は実に多彩だ。大学教授だけではなく、東京工業品取引所と京浜急行電鉄の取締役や各種団体の役員など、サラリーマン時代に築いた人脈を生かして、複数の収入源を得るに至った。

(松田健一=撮影)
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