東京大学に入るのが比較的簡単な理由
中国の受験競争は熾烈を極めるといわれる。古来、科挙制度があり国家官僚となるには厳しい選抜が行われてきた歴史を持つ国だ。
英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション発表の世界大学ランキング2025によれば、中国の清華大学が12位、北京大学が13位にランクインしているが、東京大学は28位。彼らから見れば日本の最高峰である東京大学に入るのは比較的簡単なのだ。
いまや日本の大学を卒業した在留外国人卒業生は企業社会でも引く手あまただといわれる。彼らは、中国語はもちろん、流ちょうな英語や日本語を話し、きわめて勉強熱心で向上心も強い。日本のエリート社会に食い込み、席巻する日も近いかもしれない。
日本社会では学費の無償化ばかりが議論され、政治家が選挙で当選するための常套句のようになっている。いっぽうでどのようにして日本の教育の質を高め、諸外国に太刀打ちできる人材を育成するかの議論が置き去りにされている。のんびりしている日本人がこれ以上アジアの後塵を拝することのないように、国ばかりでなく日本人自身が褌を締めなおす時代になっているのである。