予測される投資結果の「実現確率」

リスクをまったく考えなければ、将来の投資成果を予測したグラフは真ん中の青い平均値のライン1本(冒頭で紹介した図表1のグラフと同じ)です。リスクを加味すると、上下にばらつきが生まれます。上のほうは投資成果が大きく、下のほうは投資成果が小さい、もしくは損をする場合です。ここでは実現確率という概念を使って、実現確率10%〜90%まで10%きざみで投資成果の予測を見ていきましょう。

図表4には、120万円を先進国株式に一括投資して1年運用した場合、予測される投資結果が10%から90%までの「実現確率」ごとに記されています。表の一番下の「実現確率90%」の項目は、「101.7万円となる確率が90%」ではなく、「101.7万円以上となる確率が90%」と読んでください。あとは、順番に上に上がって「118.0万円以上となる確率が70%」「130.9万円以上となる確率が50%」……となって、一番上は「168.4万円以上となる確率が10%」と読みます。

投資期間を長くするほど元本割れ確率は低下する

こうした計算をすると将来の元本割れする確率を計算することもできます。この条件での元本割れ確率を確認すると32.9%となっています。先進国株式に投資する場合、1年間の投資期間でみると約3年に1度は元本割れするだろう、という計算になります。逆にいうと3年に2度はプラスで終わるだろうと見ることもできます。

では、次に投資期間を10年に延ばしてシミュレーションしてみましょう(図表5)。元本割れ確率は8.1%と大きく低下し、実現確率90%でも128.9万円以上となり、かなりの確率で利益が出る予測になります。また、実現確率50%(中央値)では285.8万円以上と2倍以上になると予測されます。こうしたツールを使うことによって「○○のために○年後に○万円準備できる確率が○%」といった計算ができ、リスクの伴う資産運用でも「計画(Plan)」することができるようになります。

あとは、計画に沿って投資を行い(Do)、計画と実績を比較し分析(Check)、問題があれば改善する(Act)というPDCAサイクルを回せばOKです。計画と実績の比較分析(Check)をするためにも、計画(Plan)段階で、最終的な将来の投資成果の予測だけでなく、時間の経過に沿った推移予測も出しておくことで、実績と比較し分析(Check)できるようになります。