米ドルと円の交換レートの主語は米ドル

通貨と通貨の交換を行う外国為替市場は、日本人だけではなく、世界中の人々が参加している市場。米ドルと円の交換レートだけではなく、米ドルとオーストラリア・ドルの交換レート、米ドルとイギリス・ポンドの交換レート、オーストラリア・ドルと円の交換レートなど、世界の通貨の数だけ交換レートがある。したがって、一定のルールで交換レートを見る必要がある。

例えば、米ドルと円の交換レートである、米ドル/円相場は「1米ドル=何円」というレートで見ることが慣習として決まっている。米ドル/円相場は、米ドルを主語とする慣習になっていて、米ドル/円相場=150円というのは、1米ドル札と交換するために150円必要という意味だ。

これを円を主語にしてしまうと、1円=0.00666米ドルということになる。これは1米ドル=150円と同じ意味だが、人や国によってどちらを主語にするかが違っていると、分かりにくくなってしまう。だから、米ドル/円相場は米ドルを主語にして、1米ドル=XXX円と表示される。

上下逆さまなグラフが誤解を生んでいる

例えば米ドル/円相場が150円から170円になるということは、1米ドルを受け取るのに必要な円が150円から170円となることを意味する。つまり、1米ドルの価格が高くなっている。だから米ドル/円相場の数字が大きくなるのは、「米ドル高・円安」を意味する。それでも分かりにくいと思うので、数字が大きくなると「米ドル高」と覚えて、米ドル高と円安は同じ意味だから、「米ドル高(=円安)」と覚えておけばよい。逆に数字が小さくなると「米ドル安(=円高)」と覚えればよい。

日本ではよく、「円/ドル相場」と呼んで、グラフを上下逆さまにして表示するメディアもあるけど、これは他の国では通用しないし、正しく理解し始めた後には逆に混乱するので避けた方がいい。

普通に150円より170円が上になるグラフで、数字が大きくなると、米ドルが高くなっているから「円安」、米ドルが安くなっているから「円高」なんだと理解する習慣をつけてしまった方がよい。

つまり、米ドルを主語に考えればよいということだ。プロの世界では「米ドル/円相場が上がった」とか「下がった」としか言わない。もちろん、「上がった」は米ドル高(=円安)のことで、「下がった」は米ドル安(=円高)のことだ。