8時間睡眠なのに「3時間しか眠れない」という思い込み

高齢者になると、不眠を訴える人が急増します。この訴えのなかには、本来ならば睡眠が足りているのに、夜型だったころの自分と比べて、思うように眠れていないと思っているケースも少なくありません。なかには、昼間に必要以上の仮眠をとってしまい、その結果、夜の睡眠の質が低下しているケースも多いのです。

さらにいえば、実際には8時間の睡眠をとっているにもかかわらず「3時間ぐらいしか眠れなかった」という人もいます。これは「自分は眠っていない」という思い込みによるいわゆる「睡眠誤認」でしょう。

いずれにしても、睡眠習慣は、過去の自分と比べるのではなく、今の状態に合わせることです。

自分が朝型か夜型かは、ウェブ上にある「朝型夜型質問紙」である程度は知ることができます。この質問紙では、19項目の質問に答えて「超朝型」「朝型」「中間型」「夜型」「超夜型」を判定してくれます。判定結果をもとに、自分の生活習慣を見直してみてください。

朝型か夜型かを知ることと同時に大切なのは、自分のもっとも適している状態、常日ごろの調子の良い状態を把握し、それをキープすることです。

「年をとって体力が落ちたから長時間眠れない」は間違い

新生児の赤ちゃんは、ミルクを飲むとき以外はほとんど眠って過ごします。1歳ぐらいになると、昼間に起きている時間が増え、夜眠ると、朝まで連続して眠ることができるようになります。

昼寝が必要なのは、小学校に上がる前くらいまでで、その後は成長するにつれて、日中はずっと起きていることができるようになります。

このように睡眠は、年齢によって大きく変わってきます。年を重ねると睡眠時間は短くなります。なかには、寝るためには体力が必要で「年をとって体力が落ちたから長時間眠れなくなった」と思っている人もいますが、これは間違った認識です。

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基礎代謝が低下することは先に述べましたが、年齢とともに体内時計が変化して、サイクルが短くなることも睡眠時間が短くなる要因の1つです。

睡眠に関わるホルモン「メラトニン」の分泌が減り、逆に覚醒ホルモン「コルチゾール」は年をとっても分泌量が変わらないどころか増えていきます。さらにいえば、睡眠と脳の発達は関係していると考えられており、加齢による「脳の老化」によって、睡眠の必要性が少なくなっているのです。

60代以降では、睡眠の質にも変化が現れます。深い睡眠が少なくなっていき、N3のノンレム睡眠は、ほとんど見られなくなります。