「認められる節税」と「認められない節税」の違いとは
節税自体は違法ではありませんが、それも度が過ぎると租税回避行為に該当することがあります。度が過ぎるかどうかは、お客様のビジネスや生きている世界で変わってきます。
私たちは社会と共に生き、日々の業務において様々な経済活動に関わります。その中で、税務の観点からも個々のケースに合わせた合理的な判断が求められます。たとえば、ある企業が高級外車(フェラーリ)を購入し、会社の資産として計上し減価償却費を経費にするケースでは、判例によりこの処理が認められています。
しかし、その経済合理性は代表者が個人で外国製車両を複数所有していてもこれらは経費にしていないこと、フェラーリの会社での使用状況や車の走行距離によって総合的に判断されます。一方で、この判例では同様の結論がプレジャーモーターボートには適用されませんでした。
外車だから、豪華な船だからではなく「事業のために使用していることが明らかか」「それを客観的に証明できる証拠があるか」や「業務内容や世間相場に照らし合わせて適正か否か」がよく問題になります。
経済合理性が判断の基準になるため個々に違うケースも多いのです。事業の必要性や実際の利用状況が評価の大きなポイントとなるのです。このような細かい判断基準は、お客様一人ひとりの状況に深く根差しています。
海外ではMBA取得で年収が3倍以上になることもあるが
あるお客様は、大手証券会社での海外子会社社長や金融機関での役員などグローバルなキャリアを経て起業された方でした。私が「海外の経営大学院を卒業しました」と告げると、そのお客様は「耐性を養う良い経験をされましたね」とおっしゃいました。
私は、グローバルなキャリアの構築や利益を超えたつながりを作る努力を評価する言葉を期待していたのですが、まったく違っていたのです。このときのお客様の言葉で、MBAの学びがキャリアの発展やネットワークの構築だけでなく、未知の状況やプレッシャーに対処する強靭な心を育てる場でもあったことを教えてくれました。
トップスクールのMBAプログラムでは授業料が1300万円から2000万円となっています。これに加えて、生活費や渡航費、書籍代も必要です。一方で、欧米ではMBA取得が経営幹部への登竜門となります。支払った額に見合う投資後の高い投資回収率が期待されますが、日本では残念ながらMBA取得が企業の採用や評価に直接リンクしているわけではありません。
2024年のファイナンシャル・タイムズのMBAランキングによると、MBA卒業生が卒業後3年で期待できる年収は、たとえばスタンフォード大学では平均約25万ドル、INSEAD(欧州経営大学院)では平均約20万ドルとなっています。
また、インディアン・スクール・オブ・ビジネスではMBA取得後の給与が229%増加するとの報告もあります。これらの数字は、世界トップクラスのビジネススクールでのMBA取得がもたらす経済的メリットを強調しています。
「MBAは役に立つのか?」「コストパフォーマンスは合っているのか?」という議論は多くありますが、幸せなお金持ちの支出哲学から考えると、これらはあまり重視していないかもしれません。MBAは単なる学位以上の価値を持っているからです。