馬鹿げた屁理屈をこねて自分を正当化する人たち

不健康な状態にある人というのは、健康維持の方法を知らなくてそうなっているのではない。身体的エネルギーを高める方法など、今どき、誰だって知っている。運動――もっと頻繁にワークアウトする。栄養――もっと健康的なものを食べる。睡眠――7~8時間は寝るようにする。常識だ。

異論の余地などないはずだが、馬鹿げた屁理屈をこねて、これらのことができていない自分を正当化する人が少なくない。自分のエネルギーの低さを、自身の体質や、業界/社風/義理のせいにする人があまりにも多い。

何を隠そう私もそうだった。以下のような、ずさんなこじつけを言っていた。

「ウチの業界ではこのくらいハードに働くのが普通だから、私もどこかで何かを犠牲にしなくては」

それで何を犠牲にするかというと、健康への気配りだ。もちろん私の言う「ウチの業界」とは、周囲にいる5人の超仕事人間のことだ。彼らも、同じように健康や家族を顧みていなかったので、それが業界全体の基準だと勘違いしていたのだ。

幸運にも、私が当時在籍していたのはグローバル企業だったため、自分と同じ職位でも、それどころか、私と同じかそれ以上の職位でも、私よりも健康に気を配り、人生を楽しみ、より大きな成果をあげている人がたくさんいることに気づいた。

私と同じ仕事をしながらも、健康をしっかり管理する方法があることは明らかだった。

睡眠を2時間よけいにとればどのくらい業績をあげられるか

「だって、今まで5時間睡眠で業績をあげてきたのだから、私の場合、睡眠は(エネルギー低下と)関係ない」

では、もし睡眠を2時間よけいにとればあとどのくらい業績をあげられるか、という当たり前の思考展開ができず、私はこんなことを言っていたのだ。

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実際に、睡眠不足は、私が成功した要因ではない。寝なかったおかげで優位に立てたわけではない。でも若くて愚かだった私は、短時間の睡眠でいかに疲れを取るかという、睡眠ハックのリサーチを始めた。

調べるうちに、50年にわたって行われた睡眠研究の結果に行きついた。適切な睡眠時間(大部分の成人の場合、約7~8時間)は、より高い認知スコア、低いストレス、高い生活満足度、良好な健康状態、高い生産性、高い収益性、少ない対立につながるというものだ。

その文献には、睡眠不足が、精神疾患、肥満、冠状動脈性心疾患、脳卒中など、多くの問題と関連づけられていると明記されていた。