イチロー少年の脳はドーパミンがドバドバ出ていた
脳が何度もドーパミンを出したがるのは、ドーパミンに依存性があるからです。強烈に気持ちがよいので、ドーパミンを出すことにとりつかれてしまうのです。もちろん、成功体験が得られるまでには、苦労や困難が伴うことが多いもの。
しかし、それらの困難を帳消しにしてしまうほど、ドーパミンが与えてくれる快楽は大きいのです。逆に言うと、成功体験をいったん体験して脳に刻み込めば、あとは脳がひとりでに強化学習をしてくれることになります。
イチロー少年の練習の様子を、もし横で観察していたとしたら、その姿は非常に苦しそうだったり、単調でつまらなそうに見えたりするかもしれません。
けれども、彼の頭の中では、おびただしい量のドーパミンが分泌されていたことは、間違いないのです。
簡単に言うと、このような成功者が、幼少時から意図せず行ってきたであろう脳の使い方を、今からうまく取り入れていくのが「ドーパミン・コントロール」です。
これまで国内外で、脳に関する多くの実験や研究が行われてきました。しかし、「やりたくない脳」を「やりたがる脳」に変えるには、ドーパミン・コントロールしかありません。
“唯一”にして“究極”のやる気を発動させる方法
ドーパミン・コントロールは、“唯一”にして“究極”のやる気を発動させる方法です。ここではその手法をわかりやすくお伝えします。ドーパミン・コントロールとは、3つのステップを1サイクルとして循環させ、それを繰り返すことでうまく習慣化していくこと。
ビジネス書を読むことが好きな人なら「PDCAサイクル」(PDCA cycle)という言葉をご存じかもしれません。
「PDCAサイクル」とは「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)」という4つのステップを1サイクルとして循環させ、それを繰り返すことで物事を継続的に改善していくことを言います。
私たち人間が、思考や行動のクセを変えようというとき、一度の取り組みで抜本的に変えることは、「ほぼ不可能」です。その理由は、前にも見たとおり「怠惰で省エネ型」という脳の性格に起因します。
脳の性質上、たった一度の指示で、完全に軌道修正するのは困難なのです。