労働人口の半分以上が自力でビジネスを営んでいた

これには驚いた。

自営業主の数は991万人で、なんと全体の25%を占めている。家族従業者は1262万人で32%という高い構成比だった。我々の先輩たちは、たくましかった。70年前の日本は自営業主と家族従業者で57%を占めており、労働人口の半分以上が自力でビジネスを行っていたのである。

新入社員にいきなり「自営業を始めてみよ」と言われたら、誰でも怖気づくものだ。しかし、40年以上会社で働き、ビジネス経験が豊富な状況であれば、退職後の15年を自分の得意な分野で「自営」してみることは、かなりハードルが低いのではないか。

また、自営業であれば、企業のように年間数十億の売上目標を課せられることはない。月に年金と同程度の収入があれば、楽しく、不安なく暮らしていけるだろう。つまり、「小商い」で十分なのだ。

そのためには、自分の事業をどう組み立てていけばいいのだろうか。

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キャリア・ビルディング・ブロックで無形資産を融合する

その1つの方法として、私は「キャリア・ビルディング・ブロック」というフレームワークを提唱している。

キャリア・ビルディング・ブロックは、縦軸を「資産の成長」、横軸を「資産分類」に分けて考える。

縦軸は三段階で構成され、第一段階は無形資産を身につけるための投資段階、第二段階は無形資産を活用して価値を生み出す創造段階、第三段階は創造した価値を有形資産として保有する段階である。

一方、横軸は無形資産の3分類の中から、生産性資産と変身資産を選んだ。生産性資産はビジネス領域で、変身資産はプライベート領域で育まれるものと定義している。プライベートも含めて、2軸でキャリアを捉え直すのがライフキャリアの重要な視点である。