ヒラタさんは相談所からの提案をどう受け止めたのか
いくつかの結婚相談所のカウンセラーらに話を聞いたが、いわゆるキモヲタ、勘違い野郎でも、まずは見た目からプロデュース。そうすると、次第に本人の意識も変わってくる。そして見合いを続けること3年――、ここまでできれば良縁に恵まれる可能性は高いという。
良縁に恵まれたとき、相談所にやって来た当時のキモヲタだの勘違い野郎ぶりは鳴りを潜め、好印象の壮年や青年へと変わっていた、という話である。人格をごっそり入れ替えるといったところか。
それにしても「今までの自分をすべて捨てなさい」と言っているに等しい結婚相談所からの提案をどう思うのか。ヒラタさんにその胸の内を聞いた。
「とにかく結婚したい。同年代は、皆、何らかの形で社会に爪痕を残している。でも私は何も残していない。婚活は、これまでの人生で大学受験以来、自分で動いたことです。結婚できるならなんだってやります。学生時代の友人たちが羨ましがるような若くて美人の女性と結婚することでみずからの人生に金字塔を打ち立てたい」
変えるべきはファッションでも趣味でもなく、みずからの意識である――これにヒラタさんが気づいて納得したときにはじめて良縁に恵まれるといったところか。
そもそも結婚とは目的ではなく結果である。こうしたことを他人に教えてもらわなければならない大人がいるという事実に空恐ろしくなる。