50歳男性の4人に1人は未婚
今、ヒラタさんのような50代で婚歴のない男性が増えている。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、50歳までに婚歴のない、いわゆる生涯未婚率は2020年では男性は28.25%、女性が17.81%だった。
ヒラタさんが生まれた1971年とほぼ同時期、1970年だと男性が1.7%、女性が3.33%である。以降、男女ともに右肩上がりに上昇を続け2000年に入ると男性は12.57%と、1990年の5.57%から倍増した。
もっとも2020年の男性の生涯未婚率28.25%という数値、これは正規か非正規か、その雇用形態で大きく異なってくるという。
2022年6月8日の日本経済新聞によると、正規雇用の男性(45歳から49歳、50歳から54歳)の未婚率は19.6%だったが、非正規雇用であれば60.4%にも上った。
こうしたデータをみるとヒラタさんのように、本人は名ばかりと謙遜するが、それでも親が経営する企業の正社員、役員として安定収入があるというだけで、十分、婚活戦線に打って出られることがわかるだろう。
「今のまま」では結婚できないが…
ヒラタさんを担当する結婚相談所の代表はさらにこう言葉を重ねた。
「正規雇用で年収も300万円以上。それで結婚の意思がありながら結婚できない人は大勢います。そうした方だからこそ、ご本人の周囲におられる方、そして私たちのサポートでどこを改めればいいか、そして望む相手の理想像や条件面で折り合えるところを探す必要があります」
至極ごもっともな話である。だが、これまで何だかんだ言いながらも自由に、それでいて確固たる自分を持って生きてきたヒラタさんである。53歳にもなって、これまで楽しんできた呑む・打つ・買うと縁を切り、趣味のサバゲーをやめ、こだわりのファッションを変えることが、はたしてできるのだろうか。
「今のままのヒラタさんでは、恐らくどこの結婚相談所でも良縁をまとめることはできません。変わっていただかなければ……。率直に申せば、いちばんの問題はファッションでも趣味でもありません。結婚への意識です」
ヒラタさんが入会した結婚相談所の代表は、こう語ると、「変わっていただいて、3年頑張る覚悟があれば、良縁に恵まれるはずです」と締めくくった。