『さしすせそ』で褒めればよいのか
相手は「自分のことをちゃんと見てくれている」と感じます。そして自分のことを見てくれている人の言葉を信用します。ここで簡単な例です。どちらが相手のことをよく見ているでしょうか?
A「さすがだね」
B「なんでそんなに周りのことがよく見えているの?」
◆例2 頭の回転が速い人に対してく
A「頭がいいですね」B「どうしたらそんなにいろんなことを同時に考えることができるんですか?」
きっとどちらもBではないでしょうか。
Bは相手のことをよく見ていないと発することができない言葉です。
「褒めるときの『さしすせそ』」なんてことがよく言われます。
さ=さすが、し=知らなかった、す=すごい、せ=センスあるね、そ=尊敬します。
そんな言葉は、相手を見ていなくても言える言葉です。
歯の浮くような言葉を連発しても、「本当にそう思っているの?」と疑われます。
残念なのは、褒めることが苦手な人ほど、「褒めるときの『さしすせそ』」みたいな言葉を仕入れることに必死になっていることです。
課題はそこではありません。相手のことをちゃんと見ることです。
とても明るい人がいたら、その人と、その人がいる場を見て、自分が何を感じるか、自身に問うてみてください。
単純に「○○さんは明るいですね」という言葉ではなく、「○○さんは存在感がありますね」「○○さんがいると、その場の雰囲気が変わりますね」「○○さんの周りの人はみんな笑顔ですね」と、その人をありありと感じる表現に変わると思います。
痺れた褒め言葉
昔、私が上司から言われて嬉しかった言葉があります。
「お前は最終コーナーでまくるタイプだからな」と。
どれだけ遅れを取っても、最終的には全員ごぼう抜きして1位になるのがお前だと。
痺れました。そんなところまで見てくれていたんだと。
人間には、誰しも得手不得手があります。褒めるのが苦手な人もいます。
そんな人ほど、通り一遍の褒め方より、まずちゃんと相手と向き合うことからはじめてください。
きっとこれまでと違う「相手との心の距離」を感じるはずです。