自然に遠のいた関係は、ちょっとしたきっかけでまた近づく

学生時代の友達、独身で会社勤めをしていたときの同僚、子どもが幼かった頃のママ友、かつて住んでいた家のご近所さん……。

一時期は毎日のように会っておしゃべりしていたのに、気がつけばほとんど会わなくなった。歳を重ねれば、そんな相手が何人もいるはずです。

その相手とは、別にけんかしたわけでも、気まずくなったわけでもありません。互いの生活の変化にともなって、自然に疎遠になったのです。自然に遠のいた関係は、ちょっとしたきっかけでまた近づくことがあります。

しばらく連絡を取らないうちに、なんとなく疎遠になった相手から、たまたま何かの知らせをもらい、そこからやりとりを重ねて、久しぶりに再会。当日は話が尽きず、楽しい時間があっという間に過ぎた。

そしてまた、以前ほど頻繁ではないにせよ、連絡を取り合うようになった。そんなこともあるでしょう。

こんなふうに、時間が経って顔を合わせても、また心地よいつき合いができるのは、相手を嫌いになって離れたわけではないからです。

嫌いになって離れた相手に対しては、時間が経っても悪い感情が消えないので、顔を合わせたところで、また親しくつき合うなどということはできません。

親しかった相手が離れていくことは、人生のどの段階でもあり得ることです。そうなる事情はさまざまですが、ほとんどの場合、あなたのことを嫌いになったからではありません。

去る者は「追わない」ことが最善の選択

あなたに対する関心や愛情が、ひと頃より薄らいでいるかもしれませんが、嫌いになるところまでには至っていません。

そのような状況で、離れていく相手を引き留めようとすれば、相手は疎ましさや不快感を覚えることもあるでしょう。嫌いになる手前で止まっていた感情の針が、一気に「嫌い」のほうに振れて、あなたとすっぱり縁を切ろうという気持ちになってしまいます。

当然、その後再会する機会があったとしても、つき合いが復活することは望めません。

これは、恋愛でもよくあることです。相手の気持ちが離れてきているのを感じて、「私のことを嫌いになったの?」「絶対に別れないからね」などと言い出して、相手を引き留めようとする。

その行動によって、相手は息苦しさを感じて、「もう別れたほうがいい」と、決意を固めてしまうのです。

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「去る者は追わず」の姿勢でいることは、相手に思い入れがあるほど、難しいことでしょう。でも、それができなければ、相手に対する悪感情と苦みだけが、双方に残されることになります。

離れていく相手と、互いにいい印象を持ったまま、またいつか気持ちよく会える可能性を残しておくためには、「追わない」ことが最善の選択です。