「100%完璧」を自他ともに求めない

私は60歳で自宅の隣にアパートを建てました。入居者は若者限定で、相場より安く家賃を設定しています。職業もバラバラで、そこからいろんな人と知り合いました。何かあったら住人に面倒を見てもらおうという気持ちもあって、力仕事や運転をお願いすることもあります。その代わりに肉や魚をたくさんいただいたときは、みんなに声をかけて庭でBBQ。その適度な距離感が心地よいのか、若者を集めたはずが、いつの間にかみんないい年齢になりましたね。

人間誰しも、得意なことと不得意なことがあります。その凹凸部分を補い合うパズルのピースを探すのが、人生の面白さだったりするんです。人は似た者同士で集おうとするけれど、凹同士凸同士では、ピースはうまくはまりません。自分にない才能や世界を持つ人を求めたほうが健全です。短所こそ、実はその人の個性ということもある。だから自他ともに「100%完璧」を求めすぎないほうがいいでしょう。

シニアがわがままになってしまうのは、自分の短所を隠して、他人の短所も許さないからかもしれません。でも、年を取れば短所なんて増えこそすれ、減りなんてしないものです。体力も衰え、これまでできていたこともできなくなる。できないことは素直に白状して、元気な若者にお願いしてしまいましょう。若者だって、威張り散らすお年寄りは敬遠しても、素直に頼ってくれる人には優しく接してくれるはずです。

そこで心がけたいのは、お互いに楽しい時間を過ごそうとすること。相手の能力を見定めて、「自分の役に立ちそう」という理由で人付き合いしても、うまくいきません。「あの人と過ごす時間が楽しい」と相手に思ってもらえることで、関係は長く続いていきます。まずは自分が人生を楽しみ、相手にも楽しんでもらう。それができれば、人生バラ色になりますよ。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年5月31日号)の一部を再編集したものです。

(構成=三浦愛美 撮影=宇佐美雅浩)
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