年間40万円を50歳から70歳まで運用すると…

何が言いたいかというと――「年間約40万円の保険料をNISAに回して運用しておけば、医療費が最も高額になる時期の自己負担額も余裕でカバーできるうえ、老後資金も手元に残る」ということです。

例えば、年間40万円を年利5%で50歳から70歳までの20年間、NISAで運用したときの資産額は、1358万円(元本800万円+運用利益558万円)になります。

教育費や住宅ローンがその間に終われば、もっと積み立てペースを上げていくことも可能になるでしょう。これであれば、さきほどの生涯医療費も十分にカバーできます。

保険料に限らず、通信費や車の維持費、サブスクリプションサービスなど、年間40万円ほどを家計の見直しでねん出し、1日でも早く、細く長く、NISAで積み立てていくことを考えてみてください。

これだけ準備できれば、退職金の平均額が今、「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)1682万円」と言われていますから、積立額がその半額と考えても、「老後2000万円問題」の懸念はきれいに払拭される計算になります。

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50代からの戦略:高配当株への一部シフト

次に、50代後半からの戦略について考えていきましょう。

現在、老後(65歳以上)の生活費は、一人暮らしの場合で15万5495円、夫婦二人暮らしの場合で26万8508円(総務省「家庭調査年報<家計収支編・令和4年>」)とのこと。この生活費が年金でまかなえない部分を、老後資金で補填していくことになります。

この補填額をつくるための一案が、NISAの一部を「高配当株」にスイッチするという方法です。

高配当株とは、配当利回りの高い株式のことで、定期的に配当金を受け取ることが期待できる株のこと。特定口座や一般口座で投資した場合は、配当金から20.315%の税金が引かれてしまいますが、NISA口座であればそれが非課税になるため、丸々受け取ることができます。

例えば、NISAの「成長投資枠」で高配当利回り5%の商品に年間240万円投資をしていた場合、年に12万円の配当金が得られます。

これが、特定口座か一般口座で投資した場合、12万円×20.315%=2万4378円の税金が引かれるので、手元に残るのは9万5622円ということに。

年金生活の中で、この2万円以上の違いは相当大きいでしょう。