生まれた時点でハンディを背負う人たち

東京大学学生委員会が行った「2020年度(第70回)学生生活実態調査」でも、東大生の親の42.5%が平均世帯年収1050万円以上だということがわかっている。年収アップに手堅い要素である学歴の最高峰においても、親の学歴が相関しているのである。

アメリカのデータでは、起業家の数には「親の年収」と明確な正の相関がある。親の年収が上位15%だと、起業家率がぐっと高くなるのだ。また、成功する起業家の年収は、親の年収と相関することもわかっている。

このように、年収とは親世代から受け継ぎやすいものだといえる。関連を考えても明確で、そもそも経済的に成功した者のもとに育てば、高年収になるコツを身近で学ぶことができる。学歴を得るための支援も受けやすい環境だ。少なくとも「勉強している暇があったら親の面倒を見ろ」とは言われない。周りにドロップアウトを誘うような仲間も少ない。

奨学金があろうが、支援者がいようが、その情報自体を知らなければ、そしてリーチできなければ意味はない。貧困家庭に育つということは、単純に金銭面だけではなく情報面でのハンディも背負う。だが、現状ではそれが勘案されていない。

弱さを語ることは「男らしくない」

世の中には、弱さを語ることに対するバッシングもある。『男がつらい!』や『非モテの品格』の著者である、批評家の杉田俊介氏は「男の弱さとは自分自身の弱さを認められない弱さ」と語る。

フェミニストはよく、男性が弱さを認められないことから、DVやいじめといった攻撃性に転嫁するありさまを「有害な男らしさ(Toxic Masculinity)」と呼ぶ。「男性は強くあるべきだ」「男性は泣いてはいけない」など、「男性はこうあるべき」という古い価値観が、男性自身を苦しめるというのだ。

男らしさ、女らしさを求める旧来の社会における反省から、「男らしさから降りよう」という提言がなされることは多くあった。