「Honda e」でのツーリングは快適すぎた

「Honda e」はバッテリーに電力が残っている間は信じ難いくらい楽しく、心地良い。制約がなければそれこそどこまでも走って行きたくなるようなキャラクターだったからだ。

筆者はクルマの評価は長距離試乗でという主義だが、マイナーチェンジも挟まない同一モデルで4回もロードテストをしたことは過去に一度もなく、これからもおそらくない。

それだけ「Honda e」に乗ったのは、ツーリングが快感すぎたからだ。1度めの長距離ロードテストで充電パフォーマンスの悪さをイヤというほど味わったが、それでも2度、3度と長距離ドライブをするのにためらいはなかった。

欧州ジャーナリストからも最大級の賛辞

後輪駆動、前後50:50の重量配分、前は軽合金製、後ろは鋼管溶接の軽量なサスペンション、ミッドシップのスポーツカーよろしく前205/45R17、後225/45R17の前後異径タイヤ等々。

これのどこがシティコミューターなのかと言いたくなるような走り重視のディメンションを持つうえ、チューニングが非常に丁寧で、文字通り狙った走行ラインを思い通りにトレースできる。

路面の荒れた山岳路を含め、どんな道路でもドライビングは思いのままという感があった。

サスペンションのロール剛性が高いわりに乗り心地がいいのも美点で、路面のいい高速道路やバイパスでは、あたかも船の世界におけるスポーツクルーザーのような滑走感がある。

道が荒れてくるとそれなりに揺れが発生するが、その揺れの収まりが非常に素早く、揺すられ感につながらない。ロードノイズの遮断はBセグメントサブコンパクト離れしており、快適性も高い。車内は広い窓とグラストップのおかげで明るく、狭いのに圧迫感は皆無だった。

乗り味にうるさい欧州のジャーナリストたちとの意見交換でも、ことドライブフィールについては大絶賛の嵐だった。ある評論家は「Honda e」の楽しさを“ridiculous(馬鹿げた)”と評した。最大級の賛辞である。

写真=筆者撮影
ハンドリングの爽快感はこのクラス随一