急激に衰えていく両親

2021年の年末には84歳の母親に要介護1の判定が出た。

しかし、デイサービスやリハビリへ行くよう勧めても拒否され、家で寝てばかり。年の瀬に廊下で転倒して以来、転倒が怖いと言って入浴も拒否するようになってしまい、着ている物もいつも同じ。

「洗濯するから着替えよう」と言っても、「大丈夫」と言うため、だんだん臭ってくる。

85歳の父親も似たような状況が続いていた。昼間はゴロゴロして夜中にドタバタ動き回り、2週に1回、買い物に行く前日だけ入浴。

耳が遠くなったため、テレビのボリュームを最大にしたまま、一晩中付けっぱなしだった。

2022年2月。85歳になった母親が失禁、便失禁をするようになり、リハビリパンツの使用を開始。

今まで唯一できていた洗濯も、気力がなくなったのか、できなくなってしまう。

だが3月頃、ようやく白馬さんの介助付きでなら、週末に入浴してくれるようになった。

2021年3月に流通系の会社を退職し、有休消化した後すぐに再就職していた白馬さんだったが、この頃は「お母さんを頼むよ」と父親に言って出勤すると、帰ってきた時に母親の体調が悪化して寝込んでいることもしばしば。だが父親は、少しも気にしていない。白馬さんは、「父にはもう期待しない」と心に誓った。

4月。ようやく母親がデイサービスに行ってくれるようになり、白馬さんは喜んだ。

ところが、86歳になった父親は2週に一度の買い物に出かけた先で自転車ごと転倒して起き上がれなくなり、もがいていたところを通行人が発見し救急車を要請。

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一度の買い物で積載重量最大の買い物をするのでバランスを崩して転倒したようだ。救急隊員から電話があり、搬送先が決まったら連絡すると言われたが、その約10分後、「本人が、『歩いて帰る。病院は行かなくていい』と言うので救急搬送はしないことになりました。一人で帰すのは不安なので迎えに来てください」との連絡がある。白馬さんは大急ぎで現場まで迎えに行った。

6月。父親、また買い物後に転倒。転倒した場所のすぐ前に住んでいた人が親切で、車で父親と自転車と荷物を運んでくれたため父親は無事帰宅。2度の転倒でさすがの父親も懲りたのか、この後、自転車で一人で外出することはなくなった。

ところが、今度は母親がデイサービスに行きたくないと言い出し、また入浴もしなくなってしまった。