専門家の話には聞く耳を持つ

反抗の度合いが強くてそもそも会話できない、引きこもって部屋から出てこない、などの深刻な状態にあるときは、医師や心理士などの専門家の助けを借りましょう。

親には激しく反抗する子でも、よその大人に対しては比較的耳を傾けるものです。加えて、専門家ならではの科学的根拠のある説明は、10代の子に意外なほど強く響きます。

不登校、摂食障害、引きこもりなどの状態にある子は、自分でも現状に不安を覚えています。そこに医師が「今、あなたの脳にはセロトニンが分泌されてなくて、だから不安な気持ちになるんだよ」「セロトニン神経を育てるにはね……」と明確に説明し、解決策を示すと「やってみよう」という気持ちが起こりやすいのです。

過食が止まらなかったある中一の男の子に、血液検査の結果を見せながら「○○の数値は正常値の2倍、○○は1.5倍。このままじゃ重病になる可能性があるよ」と話したところ、はじめて危機感を覚え、食生活を変える努力を始めたこともありました。

通院しているうちに、親に言えない話を医師に話す子も多くいます。学校でイヤな目にあったこと、内心気にしていること、やめたいけれどやめられないことなど。出せなかった思いを外に出すことは、事態が好転する大きなきっかけになります。

困ったときに「助けて」と言えるか

専門家のほかにも頼れる誰かがいれば、さらにベターです。小学校時代の先生や塾の先生など、これまで子供が信頼し、心を開いていた大人がいたら相談してみましょう。

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一番良くないのは、家のなかだけで抱え込もうとすることです。

真面目な人ほど、自分たちだけでなんとかしようとしがちです。とくに母親が、夫にさえ相談できず、一人きりで追い詰められていくケースは多数あります。

困ったときに「助けて」と言えるかどうかは大事な分かれ道。助けを求め、実際に助けてもらって「良かったね、有難いね」と子供に言えば、子供もまた、「社会の中には助けてくれる人もたくさんいるんだ」という思い=ソーシャルサポートの認識を持てます。

それは、親子双方がレジリエンスを高めていく大きな一歩となるでしょう。