政策によって少子化に歯止めがかかった国もある

少子化という言葉を聞いたことがありますか

泉房穂『10代からの政治塾 子どもも大人も学べる「日本の未来」の作り方』(KADOKAWA)

簡単に言うと、一定数の人口を維持するのに必要な子どもの数の水準を下回っている状態のことです。今、いろいろな理由で、世界的に子どもの数が減っています。子どもの数が減ると、当然、人口がどんどん少なくなります。そうすると、いろいろな物を作ったり、それを買ったりする人が減り、経済や社会が衰えていってしまう。この問題を少子化問題と言います。

少子化問題は世界的に深刻で、あらゆる国で対策が行われています。特に北欧諸国やフランスは少子化対策が進んでおり、子どものいる家族への支援が充実しています。それだけでなく、学費が無料だったり、育児休暇制度が浸透していたりと、子育てしやすい環境が高度に整備されています。こうした政策のおかげで、いくつかの国は、少子化に歯止めがかかっています。

与党は選挙で勝つために高齢者を優遇してきた

一方の日本はと言うと、いまだ対策がなされていないのが現状です。今でこそ各政党が少子化をテーマに語り出しはしましたが、与党はずっと、子どもよりも高齢者を優遇していました。高齢者の方が人口が多いため、次の選挙で勝ちやすいからです。

その結果、どうでしょう。これまで述べてきたように、ここ30年間の成長はなく、社会や経済が衰え続けています。加えて、子育て層への支援はほとんどなく、子どもの出産にも教育にも多額のお金がかかる。これが現実です。

だからこそ私は、国としてこの少子化対策に力を入れなければいけない時期にきていると思っています。何よりもまず子育て層をケアし、お金を配り、安心感を与える。これこそが、日本の経済を立て直すためにも、まずやらなければいけない「マスト」のことなのです。

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