笑いながら「死にたい」と言われても軽く扱わない
まずは、子どもに「死にたい」という気持ちが出てくるのはどんな背景があるのかをお話ししましょう。子どもは大人に比べて問題に対処する力が未熟で、他者に相談する経験も少ないことから、ひとりで悩み事を抱えやすい傾向にあります。そして、この状態が積み重なってしまうと、「どうがんばっても解決できない」という状況に追い込まれ、「死にたい」気持ちが出てくることがあるのです。
子どもが「死にたい」気持ちを打ち明けてくれたとき、深刻度を正確に把握することは専門家でも難しいので、軽く扱わない対応が重要です。知っておくといいのが「TALKの原則」です。泣きながらの「死にたい」でも、笑いながらの「死にたい」でも、TALKの原則を意識して真剣に話を聞かせてもらう対応が望ましいでしょう。
「どんなときに『死にたい』と思うの?」と聞いていい
TALKの原則とは、「Tell」「Ask」「Listen」「Keep safe」の頭文字からできている対応方法です。
Tell:心配していることを言葉にして伝える
「元気なさそうに感じたんだけど、ちょっと心配だよ」「最近あんまり眠れてなさそうだけど、つらくない?」など、「私はあなたを心配している」という思いを言葉にして伝えましょう。遠回しにではなく、ストレートに言葉で伝えることが大切です。
Ask:「死にたい」気持ちについて率直に尋ねる
「どんなときに死にたいって思うのかな?」「死にたい気持ちはどのくらい強いのかな?」のように、子どもの「死にたい」気持ちについて率直に尋ねましょう。これは子どもの「死にたい」気持ちを受け止め、知ろうとする誠実な対応です。けっして死にたい気持ちを助長するような対応ではありません。
Listen:絶望的な気持ちに傾聴する
子どもの話を最後まで遮らずに聞きましょう。その子はすでに絶望的な気持ちで「死にたい」と言っているかもしれません。子どもが「死にたい」と言ってきたときに必要なのは、あなたの価値観に基づいたアドバイスや説教、正論などではなく、その子の「死にたい」をありのまま受け止める、受容的な態度です。
Keep safe:安全を確保する
その子が置かれている環境や状況が危険なのであれば、すぐさまそこから子どもを引き離しましょう。もし、自分ひとりで子どもの安全を確保できない場合は、誰かに助けを求めましょう。子どもを助けるために、あなたが助けを求める必要があります。
以上が「TALKの原則」です。もし、あなたのもとに「死にたい」と言ってきた子がいたとしたら、その言葉を否定したり、話をそらしたりせず、「死にたい」と言えた子どもの勇気を讃え、受け止めてほしいと願っています。そして、「あなたが大切」「あなたを心配している」ということを言葉でも行動でも伝えてください。あなたのサポートが、子どもを救うかもしれないのです。