「女性の価値は若さ」という価値観を広めたくない

本来ならば自分とは関係もないし今後もかかわることは一生ないはずの、遠い場所で暮らしている人の「年の差婚」を、まるで我が身にふりかかった災難かのように怒り心頭に発し、非難せずにはいられなくなってしまうのはなぜか。

それは単なる嫉妬ではない。

そうではなくて、「女性の価値は若さにこそある」という価値観が暗黙裡に社会に拡大してしまうことを直感的に危惧するからこそだ。

かりに結婚する当事者がなにも言っていないにしても、そのような「年の差婚」自体が、世の中に「男性は若い女性と結婚するのがよい」という言外のメッセージ性を持ってしまうことを想像し、これを糺さずにはいられない。

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本音では「結婚するなら若い女性がいい」

はっきり言ってしまうが、世の男性たちは口先ではなんと言おうが、本音では「結婚するなら若い女性がいい」と考えている。

それは統計的データでも明らかとなっている。女性は自分の年齢に比例して結婚相手に希望する年齢が変化していくのに対し、男性はどの年代でも結婚相手の女性の希望年齢は20代後半~30代前半にピークがあり「若さ」を重視していることがわかる(サンセリテ青山婚活コラム「やっぱり若い方がいい?中高年男性が20代の女性と結婚する方法」2022年12月23日)。

なぜ若い女性が好まれるのか。世の男性たちは子どもをつくりたい(≒若い女性の方が妊孕性が高い)からだ。若い女性を求める男性の生物としての自然な選好を「邪悪な考え・行為である」と喧伝してその認識を改めさせることは、晩婚化が著しい現代の独身中年女性にとって――妊孕性の低下にともない男性から見た性的価値が減少する自分たちのもとにも「優良な男」が安定的に供給されるかどうかにかかわる――きわめて重要な争点になってしまった。

ロリコンだのグルーミングだのと、名誉毀損きそんや侮辱で訴えられたら負けてしまいそうな過激な言動を取るのも、これは単なる嫉妬心ではなく、文字どおり自分の遺伝子の「存続」をかけた必死の防衛行動にほかならないからだ。